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個人再生と税金の扱い

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年7月26日

1 個人再生では税金は減額されない

結論から申し上げますと、個人再生をしても滞納していた税金が減額されることはありません。

民事再生法122条1項は、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く)は、一般優先債権とする旨を規定しています。

そして、同条2項は、一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する旨を規定しています。

つまり、一般優先債権は再生手続とは別に随時支払わなければならないということであり、個人再生手続において減額の対象となることはありません。

公租公課についても、例えば国税については国税徴収法8条が、「国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だって徴収する。」と規定しており、一般優先債権になりますので、個人の方が債務整理により公租公課について減免を受けられることはないことになります。

以上について事例を基にご説明しますと、例えば、消費者金融やクレジットカード会社に対して500万円の負債があり、さらに100万円の税金を滞納している場合、清算価値が100万円以下であれば、消費者金融等の負債については小規模個人再生手続で返済する金額は100万円に減額されますが、100万円の滞納税金は全額納付する必要があります。

なお、公租公課という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるかもしれませんが、これは公租と公課という言葉を組み合わせたもので、公租が税金(国税と地方税)、公課が税金以外の国または地方公共団体に納付する負担金になります。

公租には所得税、住民税、固定資産税などがあり、効果には国民健康保険料や国民年金保険料などがあります。

2 履行可能性との関係

それでは個人再生と税金は全く関係がないのかというと、履行可能性との関係で問題になることがあります。

⑴ 個人再生と履行可能性のチェック

個人再生手続を利用することで債務整理の目的を達成するためには、実現可能な再生計画案を作成して裁判所の認可を受けることが必要です。

実現可能な再生計画案とは、具体的には履行可能な返済計画を定めているかどうかということになりますが、裁判所は、再生計画案を認可するかどうかを決定するにあたり、その履行可能性を厳しくチェックすることになります。

個人再生手続で行われる履行テストも、履行可能性をチェックするための手続です。

履行可能性が低ければ、再生計画案は認可されないことになります。

履行可能性は再生手続きを開始する際にも考慮されるため、再生計画の認可決定の際に履行可能性が問題になることはほとんどありませんが、個人再生手続の開始決定後に心身の故障により正社員として勤務していた会社を退職し週3回のアルバイト収入のみになったケースなどでは、履行可能性は低くなることがほとんどですので、再生計画案は認可されないことになります。

なお、このケースのように再生計画案が認可される見込みが極めて低い場合は、実務上は、再生計画案は提出せず手続を廃止してもらいます。

⑵ 税金の滞納で履行可能性が問題となる

税金を滞納したまま個人再生の申立てを行った場合も、この履行可能性が問題になります。

例えば、2の事例のように滞納額が100万円もあり、分割納付もしていないと、滞納処分により給料が差し押さえられ長期間手取りの金額が減少してしまうおそれがありますので、履行可能性について問題ありと判断されることも多いと考えられます。

そのため、自宅を残したいなどでどうしても個人再生を選択しなければならない場合は、申立て前までに滞納している税金を納付しておくか、または少なくとも課税庁に相談して分割納付の合意をしておかなければなりません。

なお、税金の場合は、通常、長期での分割納付は困難です。

そして、滞納税金について分割納付を行ってもその金額が大きく、再生計画で返済が見込まれる金額を確保できないと判断される場合は、自己破産を検討することになります。

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